「ライ麦」、「オーツ麦」は、いずれもイネ科に属する植物で、種子は食用とされる穀物です。
「ライ麦」とは、イネ科ライムギ属の植物で、収穫された種子のうち胚乳の部分を挽いて粉にしたものは穀粉の「ライ麦粉」になります。
同じくイネ科の植物で世界三大穀物のひとつである「小麦」と比較して、寒冷な気候や痩せた土壌に耐性があることから、ロシアや北欧などの寒冷地で多く栽培されています。
小麦粉と同様に「ライ麦粉」はパンなどの原料にされることが多いですが、「グルテン」を形成するたんぱく質を含んでいないことから、「ライ麦粉」を用いたパンは目が詰まってずっしりした食感のパンになります。
ライ麦粉を使用したドイツパンが主流のドイツでは、ライ麦粉の比率が90%以上のものを「ロッゲンブロート」、50%以上90%未満のものを「ロッゲンミッシュブロート」、50%のものを「ミッシュブロート」、10%以上50%未満のものを「ヴァイツェンミッシュブロート」、10%未満のものを「ヴァイツェンブロート」と呼び分けられます。
「ライ麦粉」に加工される以外に「ライ麦」の種子は、ウイスキーやウォッカの原料になることや、家畜の飼料に用いられることもあります。
「ライ麦」の名前の由来は、英名 “Rye” に「麦」をつけたもので、単に「ライ」と呼ばれることや、「黒麦(クロムギ)」と呼ばれることもあります。
「オーツ麦」とは、イネ科カラスムギ属の植物で、収穫された種子を脱穀して外皮ごと加工したものは加工食品の「オートミール」になります。
「ライ麦」同様痩せた土壌に耐性があり、ロシアやカナダ、アメリカ、ポーランド、オーストラリアなどで多く栽培されていますが、耐寒性は高くないことから寒冷地では春蒔き栽培が行われています。
「オーツ麦」の穀粉は小麦粉やライ麦粉のように単独でパンに加工するには向いておらず、「オーツ麦」の生産量の8割近くが家畜の飼料に用いられています。
一方で「オーツ麦」を外皮ごと加工し、外皮、胚芽、胚乳すべてを含む全粒穀物の「オートミール」には食物繊維やミネラル、ビタミンが豊富に含まれることから、健康食品としての需要は高まってきています。
「オートミール」には、脱穀して乾燥した「オーツ麦」をローラーでフレーク状にした「ロールドオーツ」や、粗挽きにした「スティールカットオーツ」があり、水や牛乳等で煮て粥状にして食べられるほかシリアルやケーキ、クッキー、マフィンの原料にも用いられます。
「オーツ麦」の名前の由来は、英名 “Oat” に「麦」をつけたもので、単に「オーツ」と呼ばれることや、「オート」「オート麦」と呼ばれることもあります。
和名は「燕麦(エンバク)」で、穂の形状がツバメに似ていることが由来です。
■ Wikipedia ライムギ
■ Wikipedia エンバク