「タガメ」、「タイコウチ」は、いずれも水生カメムシ類と呼ばれるカメムシ目の水生昆虫です。
「タガメ」とは、カメムシ目コオイムシ科に属する大型の水生昆虫で、北海道から沖縄までの日本列島全域に分布し、水田や池沼、水路などに棲息しています。
成虫で体長48~65mm、幅22~30mm、扁平で六角形に近い楕円形の体で、黄褐色から茶褐色の体色をした個体が多いです。
カマキリのような鎌状の鋭い前脚で魚類やオタマジャクシ、カエル、ほかの水生昆虫や水面に落ちた昆虫等を捕らえて体液を吸い、尻部にある短い呼吸管を水面に出して呼吸します。
田に棲息するカメムシというのが名前の由来で、漢字では「田亀」や「田鼈」、「水爬虫」と書きます。
近年では、農薬・洗剤などによる水質汚染の影響や、開発による生息地の減少、アメリカザリガニなど侵略的外来種による生態系の破壊などにより個体が減少、環境省の絶滅危惧種に指定されています。
また、乱獲を防止するため2020年2月以降はインターネットや店頭での売買および販売目的の捕獲も禁止されました。
「タイコウチ」とは、カメムシ目タイコウチ科に属する中型の水生昆虫で、北海道を除く日本列島全域に分布し、水田や池沼、水路などに棲息しています。
成虫で体長30~38mm、幅9~12mm、扁平で「タガメ」と比較して細長い体で、茶褐色から暗褐色の体色をした個体が多いです。
「タガメ」同様鎌状の鋭い前脚で魚類や両生類、昆虫等を捕らえて体液を吸い、尻部の呼吸管は「タガメ」より長く、体長ほどの長さがあります。
泳ぐときの前肢が太鼓を打つような動きをすることが名前の由来で、漢字では「太鼓打」と書きます。
「タガメ」と比較して水質の悪化には強いものの、環境破壊などから個体数は減少傾向にあり、山形県や栃木県など一部の地域で都道府県レッドリストで絶滅危惧種に指定されています。
■ Wikipedia タガメ
■ Wikipedia タイコウチ