未必の故意(みひつのこい)」認識ある過失(にんしきあるかしつ)」は、いずれも法律用語です。
  
「未必の故意」とは、自分の行為によって違法状態に至る可能性を認識しており、結果的に犯罪行為が発生してもかまわないという心理状態を表す法律用語です。
例えば、「横断歩道に歩行者が大勢いる交差点に、信号無視をしてで突入すれば、誰かが死ぬ可能性が高いが、誰かが死んでもかまわない」と考えて突入した場合「未必の故意」になります。
  
「認識ある過失」とは、自分の行為によって違法状態に至る可能性を認識しながら、その発生を避けられるものと信じて行為したが、結果的に違法状態を発生させた状態をいいます。
例えば、「横断歩道に歩行者がいない交差点に、信号無視をして車で突入すれば、誰かが飛び出してきた場合死ぬ可能性はあるが、過去には一度も飛び出してきたことはないので大丈夫だろう」と考え、結果的に事故を発生させた場合「認識ある過失」になります。

刑法では人を殺した場合、明確な殺意「確定故意」を持って犯行を行った「故意犯」の場合「殺人罪」が成立します。
上記の例では、「横断歩道に歩行者が大勢いる交差点に、歩行者を轢き殺すつもりで信号無視をして車で突入した」場合になります。
一方、相手が死に至る危険性を認識していなかった「認識なき過失」の場合は「過失犯」となり、「殺人罪」と比べて刑罰の軽い「業務上過失致死」「過失運転致死」などの「過失致死罪」が適用されます。
上記の例では、「横断歩道に歩行者がいない交差点に、信号を守って車で侵入したため、事故の危険性は認識していなかったが、見落としていた歩行者が飛び出してきて、ブレーキが間に合わず轢いてしまった」状態です。

危険性は認識していたものの、明確な殺意はなく、結果的に人を殺してしまった場合、「未必の故意」で「殺人罪」となるか、「認識ある過失」で「過失致死罪」となるかで、量刑も大きく変わります。


■ コトバンク 未必の故意
■ コトバンク 認識ある過失
■ Wikipedia 故意
■ Wikipedia 過失

「未必の故意」…違法状態に至る可能性を認識しており、結果的に犯罪行為が発生してもかまわないという心理状態
「認識ある過失」…違法状態に至る可能性を認識しながら、その発生を避けられるものと信じて行為したが、結果的に違法状態を発生させた状態

「未必の故意」と「認識ある過失」の違いは?
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