「かずのこ」、「とびこ」は、いずれも食用とされる魚卵の呼称です。
「かずのこ」とは、ニシン目ニシン科の海水魚「ニシン」の卵を塩漬けや天日干しして乾燥した加工食品で、漢字では「数の子」や「鯑」と書きます。
直径0.5mm前後の小さい粒の卵が相互に結着し、幅約2cm、長さ約10cm程度の房状になっており、コリコリした独特の歯ごたえと食感が特徴となっています。
ニシン(二親)からたくさんの卵が産まれることから子孫繁栄の象徴として正月のおせち料理や結納などに縁起物として用いられることが多いほか、寿司のネタや北海道の郷土料理の松前漬けなどに用いられます。
東北地方ではニシンを「カドイワシ」や「カド」と呼ぶことがあり、「カドの子」が転訛したものが「かずのこ」の由来とされています。
なお、珍味の「子持昆布」は、ニシンが昆布に卵を産みつけたものです。
「とびこ」とは、ダツ目トビウオ科の海水魚「トビウオ」の卵を塩漬けした加工食品で、漢字では「飛子」や「飛び子」と書きます。
直径1mm前後の小さい卵の粒が大量に集まった状態で使われることがほとんどで、一粒一粒の皮が固く、プチプチした独特の歯ごたえと食感が特徴となっています。
着色料で鮮やかなオレンジ色や赤色に着色したものや調味されたものも多く、軍艦巻きのネタ、ちらし寿司、カリフォルニアロールの具材など寿司に用いられるほか、カナッペの具材、パスタ料理、サラダなど洋食に用いられることもあります。
また、黒く着色した「とびこ」を人工キャビアとしてキャビアの代用にされることもあります。
地域によっては「とびっこ」と呼ばれることもありますが、「とびっこ」は兵庫県に本社を置く水産加工会社かね徳が製造販売する味付け「とびこ」の商品名で、同社の登録商標になっています。
■ Wikipedia 数の子
■ Wikipedia とびこ