「不織布」とは、繊維を織らずに科学的な作用や圧縮などの機械的な工程を加えて作るシート状の素材で、「ふしょくふ」と読みます。
文字通り「織っていない布」のことで、紙と同じ製造方法の「湿式不織布」、針を突き刺して繊維を結合させる「ニードルパンチ」、熱で溶融させて繊維を結合させる「サーマルボンド」、接着剤を用いた「ケミカルボンド」、高圧水流で繊維を絡み合わせる「スパンレース」など、様々な製法の「不織布」があります。
素材もポリエステル繊維やナイロン繊維、ガラス繊維などの化学繊維のほか、コットンやパルプなどの天然繊維まで多岐に渡ります。
安価で大量生産ができることから消耗品に用いられることが多く、マスクやガーゼ、ウェットティッシュ、紙おむつ、生理用ナプキンといった医療・衛生分野の製品、おしぼりやキッチンペーパー、ティーバッグ、コーヒーフィルターといったキッチン用品、エコバッグやCD収納袋、使い捨てスリッパ、空気清浄機フィルターといった生活雑貨などに利用されています。
また、複数の素材を組み合わたり密度や厚みを変更することで機能性を高めることも容易で、建材、工業・産業資材、農業・土木資材など様々な分野でも応用されています。
「フェルト」とは、羊毛などの動物繊維を石鹸液で湿らせて圧力や摩擦を加えて作るシート状の素材で、「不織布」の一種です。
羊毛をはじめとした獣毛の毛端を絡ませてシート状に密着させることを「縮絨(しゅくじゅう)」といい、石鹸液などのアルカリ性溶液や希硫酸などの酸を用いることで、毛の表面にある鱗上のキューティクルが開いて縮絨を促進します。
保温性や耐熱性、弾力性、遮音性に優れており、帽子や鞄、ピアノのハンマークッション、フェルトペン先、カーペット、自動車の内装などに用いられるほか、防音材や断熱材としても用いられます。
なお、JIS(日本工業規格)の「不織布」の定義においては、「フェルト」は「不織布」に含まないことになっています。
■ Wikipedia 不織布
■ Wikipedia フェルト