「充分」と「十分」は、現代の辞書で調べると、岩国、旺国、大辞泉、三省堂、学研、集英社などのメジャーな国語辞典で「十分/充分」と併記されており、同じ言葉として掲載されています。
まれに「十分」しか掲載されていない辞書もあり、一般的には「十分」が使われる傾向にありますが、憲法では実は「充分」が使われています。
しかし、本来「充分」と「十分」は別の言葉です。
「十分」が、量的に満たされた状態を表し、「充分」は満ち(充ち)足りた状態を表します。
英語に置き換えると「十分」がFull、「充分」がEnoughに近い状態です。
例えば、お腹がすいて食事をしたとします。
腹八分目でも、満足したなら「充分」、腹いっぱい食べて物理的に満腹であれば「十分」が正しい使い分けになります。
腹「八」分目なのに「十」分では辻褄が合いません。
主観的に満たされた状態が「充分」で、客観的に満たされた状態が「十分」であるともいえます。
しかし、現在では冒頭の通り「十分」が一般的に使われることが多く、使い分けすることも少なくなってきています。
個人的には「十分」は時間を示す「10分」とも読めてしまうこともあり、あまり使いません。
「十分」が客観的に満たされた状態、「充分」が主観的に満たされた状態。英語では「十分」がFull、「充分」がEnoughに近い。
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