再生医療への応用が期待される「iPS細胞」や「ES細胞」、論文が撤回されその存在も不確実になった「STAP細胞」
これら未来の医療に革新をもたらすとされる万能細胞の違いをごく簡単にご説明いたします。
人の細胞は、皮膚から採取した細胞を培養して再生しても皮膚にしかなりません。
肝臓から採取した細胞を培養して再生しても肝臓にしかなりません。
しかし、受精卵のように分裂していく過程で皮膚になったり、肝臓になったりといった「多能性」という性質を持つ「万能細胞」があります。
これを利用して皮膚や血管、神経、角膜、臓器などを人工的に再生し、 医療に活かすことを再生医療といいます。
「ES細胞(胚性幹細胞)」は、元々「万能細胞」である受精卵を取り出し、その胚の一部から培養される「万能細胞」で、別の細胞の核を入れて分裂させることによって、あらゆる体細胞を作ることができます。
しかし、受精卵を取り出すこと自体がひとつの生命の滅失になることから、倫理的な論議を呼んでいます。
「iPS細胞(人工多能性幹細胞)」は京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授らの研究グループによって発見、樹立された「万能細胞」で、皮膚などから取り出した体細胞に4種類の遺伝子を組み込むことで作製されます。
「ES細胞」のように受精卵を使わないので倫理的問題は少ないですが、細胞の癌化が想定されており、日々研究が進んでいます。
「iPS細胞」の「i」が小文字表記の理由は、命名当時世界的に大流行していたアップル社の「iPod」のように普及してほしいとの願いからだそうです。
「STAP細胞(刺激惹起性多能性獲得細胞)」は元理化学研究所の小保方晴子氏によって発表、後に不正が指摘され撤回、再現実験も失敗に終わり、樹立されていないためその存在は不確実ですが、細胞を弱酸性溶液に浸すなどの外的刺激(ストレス)を与えることでできる「万能細胞」と主張されています。
ちなみにトレンディエンジェルの斎藤司氏はSTAPを「(S)斉藤(T)司の(A)頭が(P)ぺっ」の略だと主張しています。
■ Wikipedia 人工多能性幹細胞
■ Wikipedia 胚性幹細胞
■ Wikipedia 刺激惹起性多能性獲得細胞
■ Wikipedia 万能細胞